南方を訪ねてin那智勝浦  

さて、本日(11/8)は第31回南方を訪ねてin那智勝浦がございまして、秋晴れの中、南方熊楠の足跡を訪ねて参りました。


ロンドンから帰国後、1901(明治34)年10月から1904(明治37)年10月まで、1902(明治35)年に歯の治療のため和歌山に戻り、田辺・白浜で半年間過ごしたこともありましたが、足掛け4年にわたり熊楠がすごしたのが那智勝浦です。

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まずは今年できた世界遺産熊野本宮館で休憩。

那智に到着
b0138370_15492277.jpg那智大社を目指す一行

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中川不老軒

参道にある中川不老軒。

1902(明治35)年1月15日の熊楠の日記には、「午後那智滝に之(ゆく)、越後長岡の小畔四郎にあふ。談話するに知人多くしれり。共に観音へ参り、堂前の烏石といふ珍物店主を訪」と記されています。

ランに興味がった小畔が、地衣を集めていた熊楠に出会ったのが那智山中。ともに観音さん(青岸渡寺のことか? 青岸渡寺本尊は如意輪観世音菩薩)に行き、この中川不老軒で店主の中川烏石(良悦)と話をします。

その後の熊楠と小畔の書簡のやりとりをみてみるとこれが面白い。
烏石は、ランを見つけると小畔に荷物で送る、と熊楠に言います。
熊楠は、烏石の還暦祝いに何かやれ、と小畔に言ったようです。
小畔はエミュの卵とブーメランを贈ろうとします。
それを知った熊楠は烏石にはもったいないから、わしにくれ、とわがままを言います。
そして策を弄して自分のものとしてしまうのです。
エミュの卵は顕彰館に、ブーメランは記念館に所蔵されています。

このときの熊楠と小畔の往復書簡は翻刻され刊行されています。
『南方熊楠小畔四郎往復書簡(一)[明治35年~大正五年]』  
是非ご購入ください。

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店は烏石の曾孫の代になっています。
那智黒というと飴を思い浮かべる人もいると思いますが、石のことです。
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二の鳥居
ようやく境内です。
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南紀勝浦温泉旅館組合の献湯祭が開かれていました。
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那智の原生林を見ながら説明を聞く参加者
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熊野那智大社

ここで世界遺産についてひとこと

みなさん那智大社の境内に来て世界遺産に来た!写真撮った!と満足してませんか?

●那智地域の世界遺産の登録内容
熊野那智大社:遺跡・景観
熊野那智大社社殿:記念工作物
青岸渡寺:遺跡
青岸渡寺本堂:記念工作物
青岸渡寺宝篋印塔:記念工作物
那智大滝:景観
那智原始林:景観
補陀洛山寺:遺跡


文部科学省文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会(第8回)、参考資料1-4の表を見ると、那智本宮大社は重文1、史跡となっています。実際には重文は8棟あるのに1件でまとめられています。なぜ、姫路城の大天守、西小天守、乾小天守、東小天守、イ・ロ・ハ・ニの渡櫓附台所1棟が8棟バラバラに数えられているのに対し、那智大社がひとまとめにされているのかは分かりませんが。。。。

また、古都京都の文化財を見てみると、
鹿苑寺、金閣寺ですが、世界遺産の構成資産は特別名勝となっています。鹿苑寺庭園のことです。建造物としての金閣は記念工作物(monument)ではありません。
首里城はもっと分かりやすい。首里城「跡」で登録されています。すなわち首里城一帯は遺跡(site)ではあっても首里城の建物は記念工作物(monument)ではないのです。

こうしてみると、文化遺産の場合、国内法上の国宝、重要文化財、重要伝統的建造物群保存地区、史跡、名勝、天然記念物などが世界遺産になりうるようですが、記念工作物は、国宝、重要文化財に限られるようです。

そこで国内法上の指定をみてみましょう。

●国内法上の指定
熊野那智大社境内(史跡)
熊野那智大社 本殿6棟・御県彦社1棟・鈴門及び瑞垣1棟(重要文化財)

 本殿6棟
  第一殿(滝宮)
  第二殿(証誠殿)
  第三殿(中御前)
  第四殿(西御前)
  第五殿(若宮)
  第六殿(八社殿)

青岸渡寺境内(史跡)
青岸渡寺本堂(重要文化財)
青岸渡寺宝篋印塔(重要文化財)
那智大滝(名勝)
那智原始林(天然記念物)
補陀洛山寺(史跡)


要するに皆さんがよく撮るであろう上の写真は拝殿で、国内法的には国宝でも、重要文化財でもありません。すなわち世界遺産としては記念工作物には該当しません。
でも、世界遺産の登録上は熊野那智大社(社殿)やしなあ!? どうなるんやろ?

確かに境内は史跡ですので、遺跡(site)に該当しますが、意外なところに重要な記念工作物があったりするのです。

世界遺産に行くときには、国内法上の指定も調べて重要な記念工作物を見落とさないようにしましょう。
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本殿5棟と鈴門及び瑞垣1棟(重要文化財)
間違いなく記念工作物です。

右から第一殿(滝宮) 、第二殿(証誠殿)、第三殿(中御前)、第四殿(西御前) 、第五殿(若宮)

本日は中には入れませんが、後白河法皇お手植えといわれる樹齢800年以上の桜が咲く頃、特別拝観があり、本殿のところまで入れます。
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第六殿(八社殿) と御県彦社
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女性に大人気の仙人さん(山伏)。
儀式をしているので、ほら貝を吹かないように注意されたようです。
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青岸渡寺境内(史跡) と青岸渡寺本堂(重要文化財)
世界遺産でいう遺跡と記念工作物です。

熊楠は小畔とともにここにお参りしたのでしょうか?
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五七の桐
そう、豊臣家の家紋です。
徳川家の葵の紋がある寺院は多いのですが、豊臣家の紋がある寺院は少ないそうです。
b0138370_15512641.jpg青岸渡寺宝篋印塔(重要文化財)

ほら、N瀬さん以外は写真撮ってませんでしたよね。これ世界遺産の記念工作物なんですよ。

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三重塔と那智大滝(名勝)
通常那智大滝とは呼ばず、那智の滝と呼びます。
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b0138370_1552032.jpg鎌倉積みの石段と参道
b0138370_1552614.jpg飛瀧神社鳥居

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ここでも仙人さん大人気
b0138370_15524667.jpg飛瀧神社は熊野那智大社の別宮。御祭神は大己貴神。
那智滝自体が御神体であり、本殿は存在しません。拝殿もなく、直接滝を拝みます。

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江戸千家宗家御献茶式

今日はいろいろやってますなあ。

江戸千家は、川上不白に始まる茶道の流派らしい。川上不白は元は紀州新宮藩水野家に仕える藩士の次男で、当主水野忠昭の勧めにより表千家7代如心斎の門に入った。

なぜ、水野家お膝元の熊野速玉大社ではないの?という疑問は残ります。
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車中の様子
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補陀洛山寺
1904(明治37年)9月28日、熊楠はここ補陀洛山寺で住職と話をし、過去帳と位牌を書き写しました。後に、
熊楠の小文「ふだらく走り」(「日本及び日本人」大正9年8月15日)へと繋がります。
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補陀洛渡海船
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補陀洛山寺(史跡)
建物は記念工作物ではありません。
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神武天皇宮跡の碑
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浜の宮王子社跡b0138370_1553494.jpg浜の宮の大樟
推定樹齢800年

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熊野三所大神社

夫須美大神・家津美御子大神・速玉大神の三神を主祭神とすることが名称の由来とされます。主祭神像三躯は国の重要文化財に指定されています。

b0138370_15535536.jpgさすがは那智勝浦!!
マグロが奉納されています。

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ところかわって勝浦の中心地
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南方酒造勝浦支店跡
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昼食タイム
マグロ丼とめはり寿司 1300円
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南方酒店
本日は日曜日。日曜日は休みのようである。
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勝浦漁港からホテル浦島
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那智勝浦町湯川にあるゆかし潟
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湯川を散策
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熊楠が滞在した柳屋隠居跡
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温泉寺
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まき
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柳屋
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b0138370_15554427.jpgフウラン



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さて、これから田辺に帰ります。

道々熊楠が訪れた地を車内から紹介しながら帰ります。
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橋杭岩
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さんまb0138370_15561336.jpg橋杭岩

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志原海岸
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ちょうど日没の時間。
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でも、雲に隠れてしまいました。



【くまちゃん】
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by kumagusu-m | 2009-11-10 03:20 | 展示・イベント

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