第9回特別企画展開催中!!  

第9回 特別企画展開催中です!

今回は

「南方熊楠の自由研究 ~ キノコと変形菌・・・ ~」


開催趣旨は

 南方熊楠(1867-1941)は、わが国における民俗学の先駆者的存在であると同時に、前近代の本草学・博物学から近代植物学への橋渡しの時代に、当時「隠花植物」と呼ばれていた菌類・変形菌類・藻類などの研究に取り組んだ在野の学者です。
 本展では、熊楠がこれらの植物とどのように取り組んでいたかを展示として再現し、彼が遺したキノコや変形菌などに関する様々な資料についてわかりやすく解説します。
また、本展は会期が夏休みと重なっておりますので、小学生を主な対象としたコーナーも併設し、「自由研究」に役立つような内容や資料も展示します。
 展示をご覧いただいた皆様には、熊楠が在野の立場にありながら生涯にわたって研究を続けた情熱や、「隠花植物」に向けられた彼のまなざしを感じていただき、彼が愛した田辺市、および紀伊半島南部の自然環境に対する興味や関心を高めていただければ幸いです。

というふうになっております。

 今までと異なり、小学生でも楽しめる内容となっています。

 当初の企画内容とはかなり異なっていますので、悪しからず。
 当館の展示は手作りの展示です。
 研究者の先生方と事務局で試行錯誤しながら、作り上げています。事務局は休館日返上、先生方は顕彰館に来たら最後、ほぼ監禁状態で、やって貰ってます。
 当初25日で展示作業終了、26日、27日休館日、28日開幕という予定だったのですが、7月に入って雲行きがあやしくなってきた。先生方の都合から、「25日に終わるわけないやん!」という状態に。。。。。。
 というわけで、前だししている情報とはかなり異なった展示内容になってしまいました。
 でも小学生も楽しめるというコンセプトは貫き通しています。

 それでは、各コーナーを紹介しましょう。


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 会場入り口正面には、ニオウシメジの実物大レプリカ(国立科学博物館蔵)が出迎えます。

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 右手は「ごあいさつ」で、巨大ツチグリのレプリカ(ミュージアムパーク茨城県自然博物館蔵)が床から生えています。

 左手に行くと第1のコーナー「熊楠は、何をしたか?」です。
 このコーナーは、「熊楠って、どんな人?」、 「南方熊楠の博物への関心」、 「生物の分類と隠花植物」という3つのから成ります。

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 「熊楠って、どんな人?」、「南方熊楠の博物への関心」の小コーナーでは、熊楠を簡単に説明し、熊楠がどのようにして、いろいろなものに興味を持っていったかを説明しています。

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  「生物の分類と隠花植物」では、五界説と、熊楠が研究した隠花植物を分かりやすく説明しています。また、熊楠の標本類は主に国立科学博物館に所蔵されていますが、顕彰館に残された熊楠の標本を展示しています。これらは普段展示していないものです。

 左下はヒトヨタケのレプリカ(ミュージアムパーク茨城県自然博物館蔵)


 つづいて、「キノコ・変形菌を詳しく見てみよう!!」のコーナーです。

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 まず、キノココーナーで、こちらには国立科学博物館蔵の樹脂硬化(樹脂含浸)標本、数十点を展示しています。
 天然の状態に近いキノコを観察できます。

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 エゾハリタケ
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 ヤマイグチ属の仲間
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 タマゴタケのレプリカ(ミュージアムパーク茨城県自然博物館蔵)

 キノコがどのように生えてくるかを学ぶことができます。
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 変形菌コーナー

 こちらでは、実体顕微鏡と光学顕微鏡で変形菌などを観察することが出来ます。

 変形菌の標本はもちろん、国立科学博物館の変形菌モデルも展示しています。
 また、伊沢正名氏撮影の変形菌写真も展示しており、写真と標本を見比べるのも楽しいでしょう。

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 変形菌モデルと写真、標本

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 光学顕微鏡では、知る人ぞ知る「イシクラゲ」などを観察することが出来ます。

 このコーナーでは、キノコ・変形菌の採集の仕方、標本の作り方を解説しています。

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 「熊楠は、どこで植物採集をしたか?」のコーナー

 熊楠が、「菌類図譜」に描いたキノコをどこで採集したか、を解説するとともに、「南方二書」で使用した写真を、どこで撮影したか、を紹介しています。

 また、現在の地図に、田辺町誌(昭和5年)の「田辺町全図」を重ねた地図を作成しました。熊楠が過ごした「田辺」を知ることができます。


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 テーブルでは、「菌類図譜」を採集ポイントごとに分けたものを見ることが出来ます。

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 最終コーナー、「身近な熊楠のフィールドに出かけてみよう!!」

 このコーナーでは、熊楠の採集した場所と、何をしたかを解説しています。また、パネルを縮小し、うらにそのポイントへの行き方が分かる地図を印刷したリーフレットを用意していますので、ガイドマップとして活用することができます。


さあ、でかけよう!
      熊楠のフィールドへ!!




【くまちゃん】
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by kumagusu-m | 2010-07-30 17:02 | 展示・イベント | Comments(2)

Commented by TakeH at 2015-05-28 15:54 x
南方熊楠先生がイシクラゲの研究をしておられたと,以前テレビで見た記憶がありました。
そこで,「南方熊楠」「イシクラゲ」で検索しましたところ,本ブログがヒットしました。
2010年の特別企画展にてイシクラゲの観察が組み込まれておりますが,熊楠先生は実際にイシクラゲの研究をなさっておられたのでしょうか?
ご教授いただければ幸いと存じます。
Commented by kumagusu-m at 2015-06-02 14:29
TakeH様
最新の研究では、イシクラゲは研究していなかったと思われています。
空中窒素固定法の件は、「履歴書」に書かれています。平凡社『南方熊楠全集』ではP38からになります。
そちらを要約しますと、

空中から窒素をとるためにバクテリアを養成する必要があるが、その培地に用いるアガー(寒天)は海藻が少ないので高価である。紀州にはパルモグレアという藻がたくさんあり、そこから寒天の代用品を作るのは容易である。この陸生トコロテンを繁殖させるために人畝ほどの畔をつくって5年間観察している、と書かれています。

つまり、空中から窒素をとるバクテリアを繁殖させるために培地を大量につくる必要があり、寒天培地の代用品をつくるためパルモグレアを研究している、ということになります。パルモグレアは、緑藻のヨツメモ目パルメラ科グロエオキスチス属にあたるそうです。
また、「空中から窒素をとるバクテリア」ですが、熊楠は「バクテリア」と書いています。現在では藍藻(シアノバクテリア)であるイシクラゲは真正細菌(バクテリア)に分類されていますが、熊楠蔵書の三省堂『日本隠花植物図鑑』(昭和14年発行)では、藍藻は藻類に分類されています。要するにイシクラゲは当時藻類なので、熊楠が研究しようとしていた「空中から窒素をとるバクテリア」には当たらないことになります。なお、その熊楠が研究しようとしていた「バクテリア」ですが、今のところ不明です。

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