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第28回月例展 現在開催中  

第28回月例展 熊楠とゆかりの人びと 第11回 「高木敏雄」を現在開催中!!
 
 高木敏雄は我が国における神話学、説話学の泰斗というべき存在です。
 柳田国男と出会って、雑誌『郷土研究』の創刊に尽くし、編集長の役割を果たしましたが、わずか一年あまり後には、意見の不一致からその任を離れています。熊楠とはその『郷土研究』誌を舞台として交流が進み、数多くの書簡のやりとりをしましたが、高木が『郷土研究』を離れるのとほぼ同じくして、交流も途絶えたようです。
 柳田や熊楠と違って、今日までまとまった著作集・全集が刊行されなかったこともあって、かならずしも広く知られた存在とは言えませんが、数え四十七歳という若さで亡くなったにもかかわらず、日本の神話・説話学また民俗学に決定的な影響を与えた人物として忘れることのできない人物ということがいえます。

 近年に至るまで、いくつかの再評価の試みは特に書籍の再刊という形で試みられていますが、その自筆資料や関連資料、代表的著作の初版本を一堂に揃えての回顧展は、行われたことがなく、規模自体は小さいものの今回の展示が初めてではないかと思っています。
 今回は高木の学問的成果を、初版本などで跡づけるとともに、ことに彼が雑誌「郷土研究」の編集にたずさわった大正初年、柳田国男や南方熊楠との交流に焦点を当て、南方熊楠顕彰館所蔵の自筆資料など、これまで未公開だった資料を公開します。

展示風景
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展示ケースの中には44点もの資料が並んでいます。
ここ2回、担当の先生が張り切っているので、かなりのボリュームになっています。
今回は奈良女子大学大学院の千本英史先生が担当で、東京成徳大学の増尾伸一郎先生にもご協力をいただいています。
増尾先生には、11日の説明会(午後1時30分から)にもゲスト出演(?)していただき、田村義也理事(学術部副部長)とのやりとりで、高木についてお話を伺えそうです。

実は月例展のパネル数は通常6~9枚。前回のリスター展が12枚、今回途中で20枚を超えることに気づきました。いくら何でも貼るところがないぞ!と思っていたところ、展示物を入れてもキャプションを入れる場所がないということも発覚。
思案してパネルは最低限(8枚)にし、ミニ図録を作成。キャプションと展示物の画像をその中に入れ込みました。当初イラストレーターで作っていたのですが、急遽インデザインで再作成。
結局、ミニ図録は表紙抜きで25頁に達しました。
いつもは、展示パネルと配布物は同じものなのですが、今回はミニ図録を無料配布しています。

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保存状態が悪いロンドン抜書も展示しています。たまたまご指定の抜き書きがそこそこ保存状態がよくて助かりました。
展示物は計44点。

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郷土研究や高木著書の復刻版は手にとって喚んでいただけます。 

ちなみに当館には高木宛南方熊楠書簡が3通、南方宛高木敏雄書簡が20通所蔵されています。

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そして、千本先生が希少本や!と言われるのが、この「民俗」。私もいろいろ検索しましたが、みつけることができませんでした。
1912年に結成された日本民俗学会の機関誌で3巻1号まで通算5冊刊行。顕彰館にはその全てがあるそうです。


展示の詳細についてはこちら




【くまちゃん】

by kumagusu-m | 2010-12-01 16:47 | 展示・イベント

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